・NICT(情報通信研究機構)の研究者が語る宇宙通信セミナー

2019年04月26日(金) 13:10-16:05 会場:アネックスホール F205
【NI-1 コース】 NICT(情報通信研究機構)の研究者が語る宇宙通信コース


※本セミナーに参加された方には、月刊オプトロニクス2019年2月号で特集した
『光技術×宇宙通信』のPDF版(ダウンロード)を差し上げます。

光衛星通信技術における研究開発の最新動向

(国研)情報通信研究機構 豊嶋 守生
光技術は広い分野への応用が可能であるが、宇宙分野への適用は、様々な応用が期待されている。その中でも、宇宙通信への光通信の適用は、高速大容量のデータ伝送が可能であり、宇宙システムにおいて革新的な飛躍をもたらす手段であると期待されている。近年、光ファイバー通信をはじめとする光学技術やレーザー技術の発達に伴い、レーザー光線を用いて離れた宇宙機器間で通信を実現できる時代に突入した。最近の宇宙実証では、キューブサット級の超小型衛星で世界初の光通信の軌道上実証がなされ、今後さらに利用が拡大する可能性がある。国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)では、海洋や宇宙空間まで利用可能な通信ネットワーク環境を展開し、移動体との通信や災害・減災に貢献するため、電波や光を用いた衛星通信技術の研究開発を実施している。本講演では、世界における大容量化・高秘匿化を可能とする光衛星通信や衛星量子暗号技術の宇宙応用に関する最新の研究開発動向について概説するとともに、NICTにおける研究開発について紹介する。
難易度:入門程度(大学一般教養程度)

技術試験衛星9号機(ETS-IX)が実現する次世代光衛星通信システムと現在の状況について

(国研)情報通信研究機構 宗正 康
情報通信研究機構(NICT)では,2020年代の本格的に普及するであろうと予想される高スループット衛星(HTS, High Throughput Satellite)の鍵となる技術の実証を目指すべく,2021年度に打ち上げ予定の技術試験衛星9号機(ETS-9, Engineering Test Satellite No.9)における通信ミッションの研究開発を総務省と協力しつつ行っている。
本ミッションは、逼迫しつつある電波による周波数領域を効率的な利用を実現する技術として,チャネライザおよびデジタルビームフォーミング技術の実証を目指すと共に、将来の大容量データ伝送のニーズに応えるために、次世代の超高速通信システムとして光通信による10Gbpsのフィーダリンク通信システム技術を検証、実証するための実験を予定している。
本講演では、本ミッションを通じて実証しようとしている光通信技術の内容、技術課題および現在の研究開発進捗について紹介する。
難易度:入門程度(大学一般教養程度)

光空間通信による物理レイヤ暗号 ―レーザー光の性質を使って安全に情報を送る技術について―

(国研)情報通信研究機構 遠藤 寛之
本講演では、月刊OPTRONICS2月号「光技術×宇宙通信」にて講演者が執筆した特集記事「日本における衛星量子暗号関連技術の研究開発」から、『光空間通信における物理レイヤ暗号』と呼ばれる技術について解説する。その特性上、悪意ある第三者、すなわち盗聴者にとって、無線通信の盗聴は容易であるとされている。しかし、光を使った無線通信である光空間通信は、狭いビームによって送受信者間の見通しを確保して行われるため、盗聴者はその位置に制限を課されてしまう。光空間通信における物理レイヤ暗号では、この光空間通信の特性を活用することで、高速な秘匿メッセージ伝送や遠距離間での暗号鍵の共有を実現する。加えて、この技術はどのような計算機を用いる盗聴者に対しても安全であることが理論的に示されている。講演者はこれまで、東京都調布市の電気通信大学と小金井市の情報通信研究機構との間で張られた7.8kmの光リンクテストベッドにより、大気のゆらぎや気象条件の変化によって引き起こされる盗聴リスクの定量化や、物理レイヤ暗号のプロトコルの一つである秘密鍵共有の実証実験を行ってきた。
本講演では、物理レイヤ暗号の理論的側面を簡単なモデルによって説明した後に、講演者らによるこれまでの研究について解説する。そして、量子鍵配送という非常に関連の深い技術との比較を通して、当該技術の、衛星光通信を含む光空間通信システムネットワークへの応用について述べる。
難易度:初級程度(大学専門程度、基礎知識を有す)

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豊嶋 守生

国立研究開発法人 情報通信研究機構

ワイヤレスネットワーク総合研究センター 宇宙通信研究室 室長

平成6年4月 郵政省通信総合研究所(現、情報通信研究機構)へ入所。技術試験衛星VI型(ETS-VI)に搭載された光通信基礎実験装置(LCE)を用いた地上-衛星間の光通信実験に従事。平成11年7月 宇宙開発事業団に出向し、光衛星間通信実験衛星(OICETS)の開発に従事。平成15年12月通信総合研究所に戻り、平成16年10月 ウイーン工科大学客員研究員。平成17年10月 情報通信研究機構に戻り、OICETSとの低軌道衛星―地上間のレーザー通信実験に従事。平成27年6月世界初の50kg級小型衛星―地上間のレーザー通信実験及び量子通信基礎実験を成功裏に実施。現在、国立研究開発法人 情報通信研究機構 ワイヤレスネットワーク総合研究センター 宇宙通信研究室 室長。博士(工学)(東京大学)。

宗正 康

国立研究開発法人 情報通信研究機構

ワイヤレスネットワーク総合研究センター 宇宙通信研究室 研究員

1979年、茨城県笠間市生まれ。2004年、東京理科大学 工学部 電気工学科卒業。2009年、東京理科大学大学院 工学研究科 電気工学専攻修了。博士(工学)。在学中、JAXA宇宙科学研究所の研修員として宇宙通信におけるマイクロ波および光アンテナの研究に携わる。2009年より(株)IHIマリンユナイテッド(現ジャパンマリンユナイテッド)にて船舶電気システムの基本設計に従事。2012年より東北大にて光MEMSデバイスの研究開発に従事。2013年よりNICTに移り、衛星通信、特に宇宙光通信システムの研究開発に従事している。

遠藤 寛之

国立研究開発法人 情報通信研究機構

未来ICT研究所 量子ICT先端開発センター 研究員

1989年、埼玉県生まれ。2012年、早稲田大学先進理工学部卒業。2017年、同大学理工学術院先進理工学研究科修了。博士(理学)。2013年から協力研究員として情報通信研究機構量子ICT研究室(当時)に出向し、光空間通信における物理レイヤ暗号に関する研究に理論と実験の両面から携わる。この研究に関する講演に対して2016年に情報通信学会衛星通信研究会賞を受賞するなど、高い評価を受けている。学位取得後は、同機構量子ICT先端開発センター研究員として、引き続き物理レイヤ暗号実現に向けた研究に従事している。加えて、量子力学的な効果を利用する安全な乱数生成に関する研究も開始するなど、情報セキュリティ技術を中心にその研究領域を広げている。