・マイクロLED ~日本発の次世代ディスプレイの実現へ~

2019年04月26日(金) 13:00-16:45
【ML-1 マイクロLED ~日本発の次世代ディスプレイの実現へ~

協賛:NPO法人 日本フォトニクス協議会


※本セミナーに参加された方には、月刊オプトロニクス2019年1月号で特集した
『マイクロLED』のPDF版(ダウンロード)を差し上げます。

マイクロLEDの実用化展望とチップの集積化技術

工学院大学 本田 徹
LEDディスプレイの高品質化、高精細化などが進展する一方、マイクロLEDディスプレイ(micro-LED displays, μLEDD)の研究開発も立ち上がっている。μLEDDは、集積化マイクロLEDを用いた画素によるフラット・ディスプレイ・パネル(FDP)の一つである。2014年に2インチウェハに集積化したLED・アレイの特許を有する米国ベンチャー企業、Lux Vue TechnologyをApple社が買収した報道から一気に注目されるようになった。超大型LEDフラット・ディスプレイは、以前より三菱電機などから商品化され、太陽光に負けない明るさが必要な屋外型ディスプレイとして広く認知されている。近年、大型LEDフラット・ディスプレイは、ソニーCLEDIS、サムソンThe Wallなど高精細で輝度の高いものが市場投入されている。この高輝度を生かした小型端末用ディスプレイがμLEDDである。画素としてLEDを使用するためには、LEDの集積化が重要な技術となる。まず、この集積化手法について展望し、その後、画素を構成する光の三原色RGB形成およびLEDの構造について考えを述べ、最後に今後の展望について解説する。

スパッタリングによるフレキシブルマイクロLEDディスプレイの可能性

東京大学 藤岡 洋
低価格のマイクロLEDディスプレイを実現するためには、安価な大面積基板上に窒化物半導体素子をモノリシックに統合する新しい技術の開発が重要である。
本講演では、液晶ディスプレイの製造などで広く用いられているスパッタリング法で高品質の窒化物半導体を成長する手法を平易に解説する。
さらに、安価なガラス基板や金属フォイルの上に窒化物半導体のRGB-LEDやトランジスタを作製する技術の開発状況と将来展望について詳しく紹介する。

マイクロLEDディスプレイ実現に向けたEu添加GaN赤色LEDの新展開

大阪大学 藤原 康文
「超スマート社会」の到来に向けて、携帯端末に搭載可能な超小型LEDプロジェクターやヘッドマウンドディスプレイに応用可能な超小型・高精細マイクロLEDディスプレイに対する社会的要請が高く、その実現に向けた様々な取り組みがなされている。ここで鍵を握るキーテクノロジーは「如何にして、青色・緑色・赤色LEDを同一基板上に集積するか」である。青色・緑色LEDが窒化物半導体で既に実用化されている現状を踏まえると、この命題は「如何にして、赤色LEDを窒化物半導体で実現するか」と言い換えることができる。
我々は「半導体イントラセンター・フォトニクス」の開拓に取り組んでいる。この半導体イントラセンター・フォトニクスでは半導体と希土類蛍光体のハイブリッド材料である希土類添加半導体を新しい光機能材料として位置付け、希土類イオンの4f殻内遷移に着目し、「電気を流して、希土類イオンを究極的に光らせる」ことを目的としている。希土類イオン特有の発光は4f殻内での電子配置の変化により生じるため、発光スペクトルが非常にシャープであり、発光波長が環境温度に対して変化しないという、これまでの半導体からの発光では考えられなかった特徴を有している。我々は赤色蛍光体の発光中心として広く用いられているEuイオンに着目し、有機金属気相エピタキシャル法により高品質なEu添加GaN (GaN:Eu)を作製するとともに、それを活性層とした狭帯域・波長超安定赤色LEDの室温動作に世界で初めて成功している。また、その光出力は年々増大し、実用化を視野に入れることが可能となりつつある。
本講演では、マイクロLEDディスプレイに資するGaN:Eu赤色LEDの高輝度化に向けた取り組みについて紹介する。
難易度:初級程度(大学専門程度、基礎知識を有す)

フルカラーGaN指向性マイクロLEDの実現に向けて

(国研)産業技術総合研究所 王 学論/熊谷 直人
サイズ10ミクロン程度の微小な半導体発光ダイオード(LED)を高密度に実装したマイクロLEDディスプレイは、液晶・有機ELに取って代わる次世代のウェアラブル型・携帯型情報機器のための低消費電力・高輝度・高解像度のディスプレイとして期待されている。しかしながら、現状の液晶・有機ELの性能を超えるマイクロLEDディスプレイの実現のためには、LEDチップサイズの縮小に伴う発光効率低下や光のクロストーク問題、GaN赤色LEDの高効率化、高速・低コスト実装などの様々な課題を解決しなければならない。当グループでは、高効率・高輝度・高解像度のマイクロLEDディスプレイのための有望なデバイスとして、エバネッセント光の結合効果を利用した指向性マイクロLEDを提案し、その実現を目指している。
本講演では、指向性マイクロLEDの基本原理を説明するとともに、窒化物半導体による青、緑、赤の3原色の指向性マイクロLEDの実現に向けた研究開発の状況について紹介する。
難易度:中級程度(大学院程度、ある程度の経験を有す)

マイクロLEDの現状と将来の可能性

(株)グローバルインフォメーション 沖本 真也
究極のディスプレイと言われながら、その技術ハードルの高さから実現性が疑問視されてきたマイクロLEDディスプレイが、穏やかな熱狂とともに、市場に投入されはじめています。マイクロLEDディスプレイを取り巻く環境は、先進ディスプレイメーカーのプライドや国策、スタートアップ企業の挑戦、プラットフォーマーを含めた巨人企業たちの陣地取り合戦などが複雑に絡み、単純にLCD、有機ELとの比較では語れない状況になっています。マイクロLEDを取り巻く最新のマーケットトレンドはもちろんのこと、ディスプレイの領域に限らず、幅広い視点からマイクロLEDの可能性について語ります。

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本田 徹

工学院大学

藤岡 洋

東京大学

生産技術研究所 教授

1984年東京大学工学部卒、1995年、カリフォルニア大学バークレー校材料科学科博士課程修了、Ph.D.
富士通株式会社勤務、カリフォルニア大学バークレー校電気工学科研究員などを経て、1996年東京大学工学系研究科応用化学専攻助手。同講師・助教授を経て2004年4月より現職。
化合物半導体結晶成長およびその素子応用の研究に従事。

藤原 康文

大阪大学

大学院工学研究科 教授

1981年3月 大阪大学基礎工学部電気工学科 卒業、1985年7月 大阪大学大学院基礎工学研究科 博士後期課程中途退学後、大阪大学・助手(基礎工学部)、1986年9月 工学博士、1991年1月 大阪大学・講師(基礎工学部)、1993年4月 名古屋大学・助教授(工学部・大学院工学研究科)、1995年11月 アメリカ・イリノイ州立大学アーバナ-シャンペーン校・客員准教授(~1996年1月)、2003年7月 大阪大学・教授(大学院工学研究科)、2015年8月 大阪大学・副理事(~2016年8月)、2017年4月 大阪大学ナノサイエンスデザイン教育研究センター・センター長、2017年9月 応用物理学会・フェロー、現在に至る。

王 学論

国立研究開発法人 産業技術総合研究所

窒化物半導体先進デバイスオープンイノベーションラボラトリ GaN光デバイスチーム チーム長

名古屋大学

未来材料・システム研究所 特任教授

1993年9月、京都大学大学院工学研究科博士課程電気工学専攻修了、工学博士
1993年10月、(旧)通産省工業技術院 電子技術総合研究所に入所
2001年、組織改編により、国立研究開発法人 産業技術総合研究所
2016年4月より現職

有機金属気相成長法(MOCVD)による化合物半導体の結晶成長、光物性および光デバイスの研究に従事

沖本 真也

株式会社グローバルインフォメーション

マーケティング部 アカウントマネージャー

【学位】
Bachelor of Arts
Master of Business Administration
【推薦文】
‘You are certainly excellent at delivering results. In fact I think you are one of the best professionals I have come across, globally.’
ケリー博士| CEO, ケリー・サイエンティフィック・パブリケーション社