4kが花盛り

会場風景
11月13日(水)から15日(金)の三日間、幕張メッセで国際放送機器展(Inter BEE 2013)が開かれました。
予想通りと言うか、4k向けの機器・装置が数多く出展され、8k関連も出ていました。
さて、光関連ではどんなものが? 私の見れた範囲ですが、各社ごとにレポートさせていただきます。

ソニーの30型4k有機ELモニター
先ずはソニー
4kスーパー35mmCMOSイメージセンサーを搭載したライブカメラやオプティカルディスク・アーカイブ、それに使用するオプティカルディスクなどを出展していました。
注目は、視野角によるカラーシフトを従来の半分以下に抑えた新有機ELパネルを用いた30型の4k有機ELモニターです。

パナソニックの4k-VARICAM
パナソニックの光伝送スタジオカメラは、光ファイバケーブルを使用してカメラとCCU間を最長2kmまで比圧縮のデジタル高速伝送が可能。同社ではこの他にも、4k-VARICAMや31型の4k液晶モニターを展示していました。

キヤノンの30型4kディスプレイ
キヤノンは、テレビコマーシャルでもお馴染みのCINEMA-EOSシステムをアピール。
4kタイプ、4k・2kタイプ、フルハイビジョンタイプ、AVCHDタイプが揃っています。また、同社の開発した映像製作現場向けの30型4k液晶ディスプレイは、IPS液晶パネルとRGB-LEDバックライトを採用したものです。

4kのUHDモニターを出展したのは東芝。4kに満たないフルHD画像も超解像技術によって4kに拡張できるというものです。

三菱電機のLED光源とDLP方式を組み合わせたプロジェクターシステムは、従来の高圧水銀ランプと比べ寿命が10倍以上、24時間365日の運用でも9年以上定期的な消耗部品の交換が不要としています。

非圧縮スーパーハイビジョン(8k)信号伝送用120GHz帯FPU受信映像伝送をデモンストレーションしたのは池上通信機。NHKと共同開発したもので、垂直偏波と水平偏波を用いているとの事です。また、来春発売予定のHD-SDI映像多重光ファイバ伝送装置は、複数の異なるフォーマット映像をパケット多重して10kmの伝送が可能、WDM多重に比べて映像あたりの伝送コストを抑えられるそうです。

NECのフルハイビジョン3CMOS超高感度カメラ
NECは、昼夜を問わずに撮影が可能なフルハイビジョン3CMOS超高感度カメラを出展しました。可視光に赤外光を加えて撮影できるタイプもあります。この他にも、同社はCWDM方式を採用したHD/SDマルチフォーマット映像伝送装置も展示していました。

放送業界では4k、8kと話題に事欠きませんが、ハイビジョンから4kに移行するには当然、放送局の機器・装置を交換する事になって、それなりの費用がかかると思います。
4kの次は8kという流れの中、特に民放の費用負担が気になるところです。

編集顧問:川尻多加志

 

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1ドルの防災投資が7ドルの被害を防ぐ

地球温暖化の影響なのか、1時間に100mmというこれまでに経験した事のないような集中豪雨が数多く発生して、各地で大きな被害をもたらしています。一方、高度成長期に建設された高速道路や橋といった社会インフラが寿命を向かえる中、その対策をどうするかがいま問われています。

このような状況の中で、光ファイバセンサを防災という観点から社会インフラへ活用して行こうという動きが注目を集めています。10月30日(水)、これをテーマとしたシンポジウムが東京大学で開催されました。

シンポジウム会場

シンポジウムを主催したのは光ファイバセンシング振興協会。同協会はこれまで光防災センシング振興協会という名称で、光ファイバセンサの社会普及と公益寄与を目的に活動を続けてきました。
しかし、最近では光ファイバセンサの活用範囲が防災以外にも予防保全的な応用や新規インフラへの適用、さらにはエネルギー開発等々にまで拡がって来て、同協会の会員層も当初のファイバセンサ開発を目指す企業だけではなく、エンジニアリングや解析、コンサルティングといった光ファイバセンサを事業に活用しようという企業にまで拡がってきた事もあり、この7月に名称を変更、今回は名称を変えてから初めてのシンポジウムだそうです。

光ファイバセンサは、長手方向に分布した温度や歪みを計測する分布計測と、ある特定箇所に設置して温度や歪み等を計測するポイント計測に分ける事ができます。
分布計測はさらにブリルアン散乱光応用センサ(BOTDR)とラマン散乱光応用センサ(ROTDR)、レイリー散乱光応用センサ(OTDR)の三つに、ポイント計測はファイバグレーティング(FBG)型光応用センサ、ファラデー型光応用センサ、透過・遮断型光応用センサの三つに分ける事ができ、様々な用途に使用されます。

今回のシンポジウムでも、盛土工事への光ファイバセンサの適用事例(前田工繊)、光ファイバセンサを利用した地象モニタリング(古河電気工業)、橋梁における面的ひずみ計測(KSK)、建設分野における光ファイバセンサの適用事例(飛島建設)、連続型光センシングによるひずみ・温度計測システム(富士テクニカルリサーチ)、光ファイバセンシングを活用する環境計測(渡辺製作所)、FBG分布センシングによる損傷検知(構造計画研究所)といった、各社が力を入れる多様な方式の光ファイバセンサの特長と実際の適用事例、さらに今後期待できる適用領域への提案が行なわれました。

展示会場

また、シンポジウム会場に隣接する部屋では「デモ並びに実用化センサ見学・体験コーナー」が設置され、発表会員企業の各種センサの展示とデモも披露されました。

シンポジウム第2部では、京都大学・経営管理大学院の関克己客員教授による「わが国の国土とリスク管理への挑戦」と題する基調講演も行なわれました。関教授は建設省で河川局治水課長、北海道開発局長、河川局長、水管理・国土保全局長などを経て、現在は内閣府参与も務めているその道のプロ。
講演では、我が国は大量に作る時代から改築の時代を迎えており、これまでとは違う設計思想が必要として、リスク評価の徹底と社会での共有化が重要と述べる一方、我が国では専門家が評価されていないという点を指摘していたのが印象的でした。

「コンクリートから人へ」といった主張が端的に示すように、インフラに対するネガティブイメージ、防災は無駄という評価もあって、ともすればこれまではモニタリングなどにコストはかけられないという風潮が強かったようです。しかしながら、東日本大震災の経験や社会インフラの寿命が問題視にされるようになった昨今、ようやく風向きが変わりつつあります。

関教授が講演で「防災への1ドルの投資によって防げる被害は7ドルに及ぶ」という発言を紹介していましたが、いま重要なのは誰も反論できないような理想論的、かつ非現実的なスローガンを声高に叫ぶ事ではなく、現実を前提とした中・長期的な視点であると感じた一日でした。

編集顧問:川尻多加志

 

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日本技術の逆襲を!

液晶テレビを始めとした我が国のフラットパネルディスプレイ(FPD)テレビ市場は、相変わらず厳しい状況が続いているようです。BCNの発表によれば、8月の国内販売額が2年ぶりにプラスに転じたものの、販売台数についてはマイナスが続いているという事です。日本のテレビメーカーの国際競争力も回復しているとは言い難いのが実情です。
3Dテレビ普及の当てが外れ、各社とも今は4kテレビに活路を求めているようですが、海外メーカーが仕掛ける価格競争にいつ巻き込まれるのか、予断を許しません。以前シーテックをレポートしたブログにも書きましたが、技術で勝ってビジネスで負けるというパターンを繰り返さないよう、くれぐれも注意が必要です。

10月23日(水)から25日(金)の3日間、パシフィコ横浜においてFPD International 2013が開催されました。

会場を歩いてみると、かつては華やかに展示されていたFPDパネルやテレビといった出展は目立たず、フィルムやテープなどの部材や製造装置、測定・検査・評価装置等がメインとの印象を受けました。

実際、シャープ、ソニー、東芝、三菱電機といった日本メーカーの単独ブースでの出展はありませんでした。約1ヶ月前に開催されたシーテックに出展して、まだ余り時間が経っていないという事もあり、液晶テレビの販売が思わしくないこのご時勢、広告宣伝費を絞り込んだのでしょうか?
その代わりかもしれませんが、主催者企画コーナーの「次世代高画質パビリオン」でシャープ、ソニー、東芝の3社の4k液晶パネルが展示されていました。

そんな中でもパナソニック系列のパナソニック液晶ディスプレイは単独出展、IPS技術をアピールしていました。
高コントラストの医療・業務用55インチ/多用途用31インチの4kパネル、ノートPC用やタブレット用、メディカル用の各種ディスプレイを展示して、20インチの4kタブレットはシーテックのプロダクト部門グランプリを受賞したものです。また、31インチの4kディスプレイとFHDディスプレイを並べて画質を比較、4kの美しさをアピールしていました。

さて、今回の展示会場で個人的に特に目立っていたと思うのが、日本の二つの研究開発会社です。

その一つ、シャープと共同でIGZOを開発した半導体エネルギー研究所は今回、OLED(有機EL)を前面に打ち出していて、その展示は多くの人の注目を集めていました。
半導体エネルギー研究所の4kフレキシブルOLEDディスプレイ
先ずは、13.5インチの4kフレキシブルOLEDディスプレイ。
その前には黒山の人だかりができていました。
トップエミッション構造と白色タンデムOLED、カラーフィルタによって実現したものです。

 
 

半導体エネルギー研究所のサイドロールOLEDディスプレイ
もう一つの注目が、5.3インチと3.4インチのサイドロールOLEDディスプレイです。
サイドロールとは、スマホなどの両サイドの一番端までをOLEDをロール状に曲げて額縁レスの表示ができるというもの。
この技術を応用して、上側を曲げて表示できる3.4インチトップロールOLEDディスプレイも展示されていました。胸のポケットに入れて、上からメッセージを見る事ができます。
この他、ともにフレキシブルなOLEDと電池を組み合わせたブレスレッド型ウェアラブル・ディスプレイも展示・提案していました。
 
 
JD
もう1社、目を離せないのがジャパンディスプレイです。

同社は、IGZOとともに低消費電力を実現するデバイスとして注目を集めているWhite Magicを開発。このデバイスは赤・緑・青に加えて、ディスプレイで最も使われる白色の画素を加え、画像に応じてバックライトをコントロールする事で約40%の低消費電力を実現するというものです。
このWhite Magicを適用したa-Si TFT-LCDモジュールは消費電力を50%削減、屋外モードで従来比2倍の高輝度を実現しています。同社は、このWhite MagicをOLEDにも適用して、5.2インチのFHDディスプレイを展示していました。

今回の展示会、かつては日本メーカーに対抗して派手な展示を繰り広げていたサムソンやLGはもとより、台湾の有力メーカーも出展をしていませんでした。市場や技術力をアピールする場所としての日本にはもう魅力を感じておらず、部材や製造装置、検査・評価装置などを物色する場所と思っているとしたら、とても残念な事ですね。
日本技術の逆襲を大いに期待します。

編集顧問:川尻多加志

 

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海外生産シフトが進む我が国の光産業

10月16日(水)から18日(金)までの3日間、パシフィコ横浜で開催されたInterOptoと併催の光産業動向/光技術動向セミナーに出席して来ました。

(財)光産業技術振興協会が調査した我が国における光産業の国内生産額は、2011年度実績が7兆2,999億円で成長率は-10.3%でした。2012年度は7兆624億円で成長率は-3.3%と見込まれています。2013年度は横ばいとの予測です。

一方、この調査では日本企業が海外で生産したものを合わせた全出荷額も調べています。それによると、2011年度実績は15兆7,162億円で成長率は-2.7%となっています。2012年度は15兆6,798億円で成長率は-0.2%と見込まれています。
2013年はやや増加すると予測しています。

2011年度実績、2012年度見込み、2013年度予測ともに、成長率を見ると国内生産額より全出荷額のほうが上回っています。国内生産額の減少だけを見ると、日本の光業界は国際競争力を大幅に失ったという思い込みをしてしまいそうですが、全出荷額を見ればリーマンショック以降の厳しい状況の中、実際のところ日本企業は健闘しているという見方もできるのではないでしょうか。

分野別の2012年度見込みを見てみたいと思います。ただし、数値は講演予稿集に載っているグラフから読み取っているものもあるので、数値に若干の誤差がある事はご容赦いただきたいと思います。

海外生産比率は、全分野を合わせると55%強という値になります。このうち、比率の高い分野を見ていくと、情報記録分野が実に75%強、ディスプレイ・固体照明分野は70%弱、入出力分野は60%弱という結果です。

比率の低い分野では、センシング・計測分野が15%強、太陽光発電分野が約15%です。情報通信分野が約10%で、レーザ加工分野は大体2%位という感じですね。

講演予稿集のデータでさらに細かく見ていくと、先ず情報記録分野は2012年度見込みで国内生産額が約2,700億円、全出荷額は約1兆1,000億円で、75%強が海外で生産されているという事になります。

ディスプレイ・固体照明分野は2012年度見込みで、LCD装置が対前年度国内生産額-76%の1,506億円になるのに対して、全出荷額は-7%の3兆8,766億円で、約96%が海外生産になっています。LCD素子は-21%の1兆2,134億円に対し、全出荷額は+5%の1兆9,321億円で約37%が海外生産です。プロジェクタは国内生産額が+32%の784億円に対し、全出荷額は対前年比+9%の2,135億円で、約63%が海外生産となっています。

入出力分野は2012年度見込みでMFP(複合機)が約80%、光学式プリンタが70%弱、カメラ付携帯電話50%強、ビデオカメラが50%弱、デジタルカメラは40%弱が海外生産となっています(この講演では回答率が50%程度で低いものの、全体の傾向は掴めると言っていました)。

光通信分野では(この分野だけは2013年度予測にもとづく)、通信用半導体レーザのうち励起用の1.49/0.98μm帯の半導体レーザが海外生産シフトで横ばいの成長に留まり、1.3μm帯半導体レーザでも海外生産シフトが始まると予測しています。光ファイバケーブルもSMF(シングルモードファイバ)の海外生産が始まり、その比率は約20%になると予測しています。MMF(マルチモードファイバ)は急速に海外生産が進んでいて、その額は国内生産の倍以上になるとしています。

反対に、レーザ加工分野におけるレーザ応用生産装置は、殆どが国内生産で占められているという事なので(ファイバレーザといった発振器単体では、また別の話だと思います)、「優等生」と言いたくなりますね。

今回の講演では、何人かの方が「調査は昨年の政権交代前のものなので、それ以降の数値は上がると期待している」と述べていましたが、この言葉、非常に象徴的でかつ印象に残りました。
海外生産シフトは、特定の先端技術が成熟方向に向かえば向かうほど避けられない減少かもしれません。
光産業が国内雇用に貢献し続けて欲しいという面では、アベノミクスへの期待に加え、リストラで人員削減ばかりを考えるのではなく、新しい雇用を創出し続けるためにも研究開発や技術開発へ強力に力を注ぐ発想と行動が求められると思います。

編集顧問:川尻多加志

 

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食品産業分野に貢献する光技術

11月26日(火)から28日(木)の3日間、東京都立産業貿易センター(浜松町館)において「赤外線フェア」、「マイクロオプティクス・フェア」、「光技術で安心・安全フェア」、「光反応機能材料フェア」の四つの展示会を開催します。
幾つもの併設セミナーも開くのですが、その一つ「光技術で安心・安全セミナー」の中では「光で守る食の安全」というコースを設けました。
http://www.optronics.co.jp/safety_fair/seminar.php

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食品産業において光技術はどのように応用されているのでしょうか。
このほど東京ビッグサイトで開かれた「食品開発展」で目に付いた製品が幾つかありましたので、以下にレポートします。

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会場入り口

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住友電気工業(株)の近赤外分光カメラ搭載食品品質管理システム「COMPOVISION」

住友電気工業(株)(住友商事マシネックス(株)と共同出展)は、近赤外分光カメラを搭載した食品品質管理システム「COMPOVISION」を出展。
一般的な近赤外カメラより広い(1000~2350nm)帯域を用いているので、有機化合物を高感度で非破壊・非接触検査できます。毎秒300枚を撮像する高速ラインカメラによってインライン全数検査が可能で、コーヒー豆内の異物検知や成分分布の定量測定などに使えるとの事です。
 

ブルカー・オプティクス(株)は簡単・迅速・確実をセールスポイントにしたフーリエ変換近赤外分光計(FT-IR)「TANGO」を出展していました。同社はFT-IR高分解能モデルやFT-IRリモートセンシングシステム、FT-ラマン分光計、赤外顕微鏡・ラマン顕微鏡、光ファイバを用いたタイプの製品などを幅広く取り扱っています。
 

日本ビュッヒ(株)は、近赤外分析器「NIRMaster」を出展しました。飼料や食品の製造現場でのアットライン測定ができる防塵・防水仕様(IP54仕様。要望によりIP65仕様にも対応可能との事)のスタンドアローン型フーリエ変換近赤外分析器です。
 

ビーエルテック(株)は、近赤外分析装置「SpectraStar」シリーズを出展。フーリエ変換型ではなく、敢えて回折格子を用いているので、比較的安価で安定性の高い定量分析が可能です。定量分析だけでなく、定性分析ができる機能も追加したとの事です。
 

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(株)日立ハイテクノロジーズの分光蛍光光度計「F-7000」

(株)日立ハイテクノロジーズは、分光蛍光光度計「F-7000」を出展していました。3次元蛍光スペクトルの蛍光強度分布(蛍光指紋と言う)を用いて食品の産地や鮮度、種類を判定できます(例えばマンゴーや蜂蜜の産地を特定できる)。
複数の励起波長と蛍光波長における蛍光強度比で解析を行なう仕組みです。
 

(株)トミー精工は、紫外~可視光分光光度計「Halo DNAmaster」を出展しました。200nmから900nmの波長を用いてサンプル量0.5μlから、核酸やタンパク、細菌培養などの濃度分析ができます。
 

日本施設(株)は、紫外線光触媒脱臭装置を出展。光触媒と紫外線の二重効果によって、食品工場や学校給食調理場などから発生する悪臭物質を分解・無害化します。同社では、UVランプを用いて一般細菌やビブリオ菌を殺菌する海水殺菌装置も出展していましたが、これは栽培・養殖用海水や循環系海水の殺菌に用いるものでした。
 

(株)日立パワーソリューションズは、カセット式の迅速細菌数計測装置「カセットラボONE」を出展しました。90分以下という短い時間での計測が可能で、DNAを多重染色法で染色して蛍光波長プロファイリング法を用いる事で、ノイズ成分の大幅低下も実現しています。
 

このように、食品産業分野において最早なくてはならないツールとなっている光技術ですが、月刊オプトロニクスでは11月号(10月末刊行予定)で、植物工場や病害虫防除、水産業応用、食品検査などと言った「食を守る光技術」を特集します。こちらも乞うご期待。

編集顧問:川尻多加志

 

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防災・防犯分野へ、もっと光を

将来発生が懸念される巨大地震やますます凶悪・巧妙化するテロや犯罪。
これらに如何に対応するか。他人事ではありません。

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10月2日から4日まで、東京ビッグサイトで開催された「危機管理産業展(RISCON TOKYO)」では、耐震・免震・制震器具や非常食、救助機材、非常時通信システム、監視装置・システムといった防災・防犯のための機器・システムが数多く披露されました。
この防災・防犯分野に光技術はどう使われているのでしょうか。

(株)ニシヤマのブースでは、コニカミノルタ(株)が開発したレーザレーダを用いた人・車両検知/距離・速度計測システムがパネルとディスプレイで展示されていました。
広角に照射したレーザ光の反射を用いて、物体の位置や距離を検出するというもので、外乱光に強いので屋外に設置しても昼夜を問わず計測できるという事です。
踏切で車両・歩行者の滞留を監視して緊急通報するシステムや道路に設置して車両の速度や交通状況、また歩行者や自転車の通行状況を監視して事故が起こった時に緊急通報するシステムなどに使用できます。

レーザメッセージプロジェクタを展示していたのはエーエルティー(株)。回折光学素子を用いて、固定のパターンを500mまで長距離照射できるというものです。
赤、緑、青のレーザが使えて、バッテリー駆動が可能なので停電時や屋外でも使用が可能。災害時に遠方から救助者へのメッセージを伝えたり、セキュリティーエリアへの侵入者へ警告メッセージを送ったり、聴覚障害者への避難メッセージにも使用できます。
スキャン照射で任意方向にメッセージを照射できるタイプも展示されていました。

レーザ距離計やサーマルカメラ、工業用内視鏡、屋外型センサカメラなどを幅広く扱う(株)阪神交易のブースで注目したのが携帯型ソーラーパネルです。

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(株)阪神交易の携帯型ソーラーパネル

コンパクトに折り畳み収納が可能なタイプと巻き取り収納が可能なロール式の2タイプがあり、リチウムイオンバッテリー内臓でスマホやタブレット、デジカメなどに蓄電・充電でき、これは11月の発売だそうです。

この他、監視カメラ・システムは、HDカメラシステムを展示していた(株)日立国際電気や(株)タムロンを初めとして、多くの企業が出展していました。

太陽電池を用いた静止画遠方監視システム(日本無線(株)開発)を展示していたのは(株)イートラストです。太陽電池とバッテリーを用いて完全ワイヤレスを実現、設置工事コストと工期の大幅削減を両立できたという事です。

他にも太陽電池を用いたシステムはけっこう出展されていて、この分野での太陽電池の有用性を強く感じました。

災害時用のLEDライトや照明も幾つか出展されていましたが、その低消費電力性ももはや無くてはならないものと言えるでしょう。

一方、顔認証システムを出展していたのが(株)セキュア。赤外線カメラとライブカメラで同時撮影した顔画像を比較する事で、写真などによる偽顔と生きた人間の顔を区別する事ができるという特長をアピールしていました。

光技術を用いた製品がかなり出ているのではないかと期待して行ったのですが、個人的感想としてはもっと多くても良いのではと感じました。
特に光ファイバセンシング・システムは、防災には大いに役立つはずです。そういう意味でも、光技術サイドからのアピールがさらに必要というのが正直な感想です。

編集顧問:川尻多加志

 

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百花繚乱 4Kテレビ

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会場風景

シーテックジャパン2013が幕張メッセで開かれました(10月1日~5日)。
今年の開催テーマは「スマートイノベーション -明日の暮らしと社会を創る技術力-」です。
自動運転を目指す次世代カーや太陽電池と蓄電池を組み合わせたスマートホームなどが話題を集めていますが、ここでは光技術を切り口として、また限られた時間と独断と偏見、プラス個人的興味でレポートさせていただきます。

先ず目についたのは4Kテレビのオンパレード。パナソニック、ソニー、シャープ、東芝、三菱電機といった各社が、この4Kテレビを全面に打ち出していました。

ちなみに、少し前までのディスプレイ関係の展示会では、3Dテレビが目白押しだったのですが、今回私が会場を回った範囲内では見受けられませんでした。
まさに隔世の感あり。先端技術を用いたコンシューマー向けの商品化の難しさを如実に表わしているような気がします。
また、何故か8Kもメーカーでは見受けられませんでした(NHKは展示)。

さて、今回特に注目したいのがパナソニックとソニーが出展した4K有機ELパネルです。これを含めて以下、各社の出展を紹介したいと思います。

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パナソニックの55型4K有機ELパネル

パナソニックが出展した55型の4K有機ELパネルは、RGBオール印刷方式を用いています。量産化を期待したいですね。液晶テレビでは65型4K対応テレビと20型という大きさの4K液晶タブレットを展示していました。設計用途などには使いやす
い大きさですね。

ソニーも56型4K対応有機ELテレビを出展していました。ただし技術については一切発表できない事になっているとの事でした。
同社では65型4K液晶TVも出展していました。

シャープは70V型の4K対応液晶テレビを出展しました。ちょっと面白かったのが2Kのフルハイビジョンパネルで4K相当の高精細表示が可能というアクオス・クアトロンプロ。超解像分割駆動エンジンを用いて実現したものです。4Kテレビは高価で、まだソフトもない。これに対し、これは低価格という特長を持っています。テレビ用途では過渡的な感じを受けますが、使えそうな用途が他に色々ありそうで、アプローチとしては面白いと思いました。
同社は自慢のIGZO技術で省電力という点も打ち出していましたが、このIGZOとMEMSを用いた7V型のディスプレイも展示、視認性と色再現性が高く低消費電力を実現できるとアピールしていました。

この他、東芝は85V型の4K液晶テレビ、三菱電機は同社の独自方式である赤色半導体レーザを用いて赤色の再現性を高めた65V型4K液晶テレビを出展していました。
有機ELでも、照明用ではパイオニアが三菱化学と共同開発した世界初の発光層塗布型有機EL照明モジュールを出展。同社は自動車用のヘッドマウントディスプレイも展示していました。

NTTドコモはソニーのインテリジェントグラスを展示。これには単眼用と両眼用があって、それぞれ用途が違うのですが、単眼用の「見るだけインフォ」ではパネルなどに書かれた英語や中国語を自動翻訳してくれる機能を持っている便利ものです。同社では、ソニーのスマホに取り付けられるレンズスタイルカメラやサムソンの腕時計型ギャラクシーギアーも展示しました。

表示関係から離れて興味深かったのが、TDKの熱アシスト磁気記録ヘッド。レーザーからの近接場光と磁性スピントロニクス技術を用いて、これまでの倍以上の記録密度1.5Tb/平方インチを実現、将来は5Tbまで可能だと述べていました。
ハードディスクドライブ形態では、2020年には40TBを実現するとの事でした。
データセンター用途に期待できそうです。

一方、センシング関係ではNECが顔認証システムや非接触型ハイブリッド認証システムを出展。指紋と静脈のダブルで認証するというもので、より高い精度の認証を実現するという事です。
この他にも、光を含めたセンサーなどが多く出展されていたようですが、今回は時間の都合で取り上げられなかった事をお断りしておきます。

4Kテレビは、放送もまだ先で現状ではソフトがない状況です。そこで各社とも画像処理チップによって、2Kを4Kにアップコンバージョンする機能を付けています。
新興国の4Kテレビには、ディスプレイは4K対応だが画像処理チップは搭載しておらず、4K放送が行なわれていない状況において4Kテレビと称して低価格(39型や40型で7万円程度)を売りにしているという話を聞きます。
よく言えば「したたか」なのですが、個人的には、その表現では少し思いやりがあり過ぎるのではと思います。

技術で勝ってビジネスで負けるというこれまでのパターンを繰り返さないよう、我が国のメーカー各社には戦略と戦術をよく練って勝負をしてほしいと切に思うシーテックでした。

編集顧問:川尻多加志

 

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光製品バイヤーズガイドOnLineサービス

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上記のQRコードは弊社がオンライン上でサービスを行っている光関連製品検索サイト「光製品バイヤーズガイドOnLine」のスマートホン、iPhone、各種タブレット向けアドレスにリンクしています。
光製品バイヤーズガイドは随分昔は紙ベースだけで発刊していましたが、10年ほど前からWebでのサービスも行っています(とはいっても一昨年あたりまではPCベースのサービスのみでしたので昨年からスマホ向けサービスも開始しました)。
検索機能を使って、わが国の光関連を取り扱っている企業の概要や、光製品別の取扱企業が即座に分かる優れ物です(収録企業数は約2,000社で、製品は約700に分類分けされています)。その上輸入製品を扱っている商社リストも掲載されています。
こんなに便利な割にはスマホ向けサービスを行っていることを知ら無い方が多いので、この度QRコードを添付してお知らせすることにいたしました。
是非一度お試し下さい(勿論無料)。便利ですよ!
追伸)QRコードを読み込むよりスマホに直接アドレスを入力するほうが良い方は下記アドレスから。(PCのアドレスと同じです)
http://www.optronics.co.jp/bo/index.php

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レーザーミュンヘン開幕2日目

昨日から世界最大の光の展示会「レーザーミュンヘン(LASER WORLD of PHOTONICS)」が昨日開幕した。一時より景気も良くなっているせいか日本からの参加者も多くみかける。今回の我々のミッションはJAPANパビリオンの運営管理が主である。今回の参加出展者は日東光器、CANON、オプトライン、住友電工、メガオプト、テクノハンズ、フラクシ、シチズン、ピコループ、オキサイド、トヨテック、オーテックス、日本電気硝子、アートレイ、トーカイ、日鐵住金溶接、光学技研、東洋製缶GH。
展示会場、パビリオンの雰囲気を写真でお伝えします。
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メディカル・イメージング・コンソーシアムとメディカル&イメージングEXPO2013

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本年もどうぞ宜しくお願いいたします。
昨年10月にお医者様と企業技術者の相互協力により、「メディカル・イメージング・コンソーシアム(MIC)」が設立されましたが、弊社が事務局としてお手伝いすることになりました。
http://med-imaging.org/top
この「メディカル・イメージング・コンソーシアム(MIC)」が主催する「メディカル&イメージングEXPO2013」は
医工融合による真に使える医療機器開発を目指して開催される製品展示会で、
①メディカル・イメージング
②バイオ・イメージング
③メディカル・フォトニクス
④バイオ・フォトニクス
をキーワードに2013年4月24日~26日にパシフィコ横浜において開催されます。
http://www.opie.jp/mi/index.php
同時に会期中の4月25日には、展示会場の2階アネックスホールにて「先端メディカル・イメージング・シンポジウム2013;スーパーハイビジョンと超高感度イメージングの医療応用」を開催いたします。
http://med-imaging.org/info
またご承知の通り、オプトロニクス社では2010年4月より季刊「メディカル・フォトニクス」を刊行し、日本レーザー医学会の会員様全員に毎回無料配布を行い、好評を博しております。
http://www.medicalphotonics.jp/magwho.php
このように弊社は現在総力を挙げて光のメディカル応用に力を注いでおり、「メディカル&イメージングEXPO」を『わが国を代表する光とイメージングと医療の展示会』に育ててまいる所存です。
追伸)同時開催の国際会議OPIC2013には光医療をテーマとした「Conference on Laser Surgery and Medicine 2013 (CLSM2013)」も設置されています。
http://opicon.jp/

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